上場企業は、ステークホルダー(利害関係者)に対して財政状態、業績、キャッシュフローの状況等の情報を提供するために「財務諸表」を作成し、有価証券報告書や決算短信などで公表しています。
財務諸表には次のような書類があります。
貸借対照表(バランスシート、B/S)
損益計算書(プロフィット・ロス・ステイトメント、P/L)
株主資本等変動計算書
キャッシュフロー計算書
付属明細表
投資の大事なツールである財務指標や投資指標は、主にB/SやP/Lの数値を使って計算します。そのためB/SやP/Lについては、その概要を(簡単にでも良いので)把握しておくことが重要です。
B/S(バランスシート)
P/L(損益計算書)
財務指標とは、
企業の財政状態や業績を客観的に評価するための指標です。
B/SやP/Lの数字を使った計算により、比率(%)、回数、倍率などの単位で表されますので、過去との比較や他社との比較が容易になります。
財務指標は収益性分析、安全性分析、生産性分析、成長性分析などに利用されます。
収益性分析:ROE、ROA、総資本回転率など
安全性分析:自己資本比率、デットエクイティレシオなど
生産性分析:労働生産性、資本生産性、売上高付加価値率など
成長性分析:売上高成長率、経常利益成長率など
投資指標とは、
株価が割安か割高かを判断するための指標で、バリュエーションともいわれます。
投資指標の特徴は、相対的な指標ということです。
投資指標は過去データや他社データと比較して、株価の割安割高を計る指標です。
企業の本質価値を表すものではありません。
もう一つの特徴は、時系列で観察すべき指標ということです。
投資指標は株価と財務データの比較で算出します。株価は瞬間で変動しますが、財務データは四半期に1度程度しか変更されません。動態的なのもと静態的なものを比較していますので、もともとタイムラグが内在してしまいます。
したがって、今現在の数値で割安割高を判断することは危険です。時系列にデータを観察して、一定のレンジで捉える必要があります。
投資指標には、
PERやPBRなど株価と財務データを対比させた指標
配当利回りや益利回りなど投資に利回りの概念を導入した指標
国債スプレッドやイールドスプレッドなど対国債のリスクプレミアムを表して市場全体の割安割高を判断するための指標
などがあります。