PERは、株価とP/L(損益計算書)の数値を比べる投資指標です。
PER(株価収益率/単位:倍)
=株価÷予想EPS
*PERは、Price Earning Ratioのことです。
*EPSは、Earning Per Share(1株当たり純利益)のことです。通常今期末や来期末の予想数値を用いています。
PERは、株価を1株当たり当期利益で除したもので、株価が予想EPSの何倍に買われているかを示しています。
PERを使って現在の株価水準が過去と比較して割安か割高か、また同業他社と比較して割安か割高かを判断することができます。
下図は、2017年~2022年のPERに関する統計データです。
過去5年半において、PERの平均値は15.15倍、中央値は13.83倍、最大値は27.50倍、最小値は10.83倍となっています。
「PERと日経平均のチャート」を見ると株式市場は、
PERが14~15倍前後で推移することが多く、
PERが12倍を下回ると概ね底値圏で、
PERが16倍を上回ると高値警戒ゾーン
ということが言えそうです。
PERと日経平均の動き
(2017年~2022年)
(PERに関する第1のポイント)
PERの計算式は次のように変換することができます。
PER=株価/予想EPS
株価=PER×予想EPS
ここでPERは市場センチメント(市場心理)や成長性の評価を反映するといわれますので、この式はさらに次のように書き換えることができます。
株価=市場センチメント(PER)×ファンダメンタルズ(予想EPS)
株価=成長性(PER)×ファンダメンタルズ(予想EPS)
PERに関する第1のポイントは、
株価は、市場センチメントとファンダメンタルズのいずれかの変化により変動するということです。
また株価は、その企業の成長性に対する評価とファンダメンタルズのいずれかの変化により変動するということです。
(PERに関する第2のポイント)
市場センチメントは、投資環境の改善(悪化)や企業業績の改善(悪化)など様々な情報により常に変化しています。
そして 株価は市場センチメント(市場心理)の変化に直ちに反応します。
一方EPSに係る予想の変化には、時間的な遅れがあります。
そのため、例えばある銘柄のPERが25倍だとしても、今後EPSが増加する局面なのか減少する局面化なのかによって、割安割高の判断は変わってきます(詳細後述)。
PERに関する第2のポイントは、
PERは数値そのものではなく、時系列なデータから一定の範囲を想定して割安割高の判断をしなければならないということです。
(PERを使った割安割高の判断は、局面によって異なることについて)
「EPSと日経平均のチャート」を見ると、
日経平均の動きはEPSの増減に先行していることがわかります。
そのため、EPSが減少する局面では、日経平均とPERが先行して下降します。
逆にEPSが増加するする局面では、日経平均とPERが先行して上昇します。
(EPS減少局面の例)
①2020.1.17
PER14.5倍 EPS1654円
日経平均24041円
②2020.3.13
PER10.8倍 EPS1609円
日経平均17431円
③2020.3.19
PER12.6倍 EPS1310円
日経平均16552円
②時点でPERは14.5倍から10.8倍まで低下し「割安」に見えますが、実際にはさらにEPSが減少するため株価はさらに下落しました。
(EPS拡大局面の例)
①2020.3.19
PER12.6倍 EPS1310円
日経平均16552円
②2020.5.16
PER27.5倍 EPS728円
日経平均20037円
③2021.2.19
PER22.3倍 EPS1340円
日経平均30017円
②時点でPERは12.6倍から27.5倍まで上昇し「割高」に見えますが、実際にはその後EPSが大幅に増加したため株価はさらに上昇しました。